Mining the gold miners

ゴールドラッシュの「超」ビジネスモデル 野口悠紀雄

この本は、なんど読んでも面白くて、しかもビジネスを考える上に極めて役に立つだ。経済学者の野口悠紀雄が、19世紀のゴールドラッシュに沸いたアメリカにおいて、すぐれたビジネスモデルをもっていた者が、富を築いていったと指摘する。

1849年、アメリカの西海岸のある農場主の私有地で、金が発見される。農場主は、なんとかこのニュースを隠して金の採掘を自分で行おうとするが、すぐにそのニュースはアメリカ中に広がる。全米中から多くの男たちが金をめざし、西海岸にやってくる。農園は、金採掘者たちによって破壊されて、彼の息子たちも殺害されてしまった。

金採掘者たちの運命もあまり好転しなかった。ゴールドラッシュのため、たくさんの人間がこの地にやってきた。カリフォルニアの物価も高騰。金採掘者たちの中で、富を築いたものは多くはなかった。

富を築いたものは、例えば、採掘に必要なものを買い占めたもの。ある男は、スコップを買い占めてカリフォルニアに向かい、法外な値段でスコップを売りさばいた。またリーバイという男は、厚手のデニム地をズボンを作って金採掘者たちに売ってみたところ、非常に好評を博した。今にでも人気を博するリーバイス社を始まりである。また、カリフォルニアに人や物資をはこぶために、鉄道を敷いたものが現れた。その者たちは天文学的な富を築いた。

結局、ゴールドラッシュで富を築いたのは、金採掘者ではなくて、金採掘者を採掘したものたちだったのだ。( Mining the gold miners )

ビジネスにおいて大切なのはモデルなのだ。今の会社を起業して、4年がたったけど、同業たちとの競争にいかに勝つかを考えるのではなくて、彼らにサービスを提供するようなビジネスを構築しなければ、大きな利益は見込めない。